台湾でコロナ禍を過ごした人々の振り返り体験談
第1回 警戒レベルが第3級に引き上げられたその日、路地裏でマスクを外しこっそりアイスを食べた
日本から戻って大パニック
――コロナ禍もいよいよ収束、といった昨今ですが。
いやー、長かった。2年半、あっという間に過ぎたってよく言われますけど、こんなに長いことどこにも行けないなんて当初は想像もしなかったから。
――コロナ前後で変わったことは?
それが大激変ですよ。勤務していたお店が閉じることになって、転職というか、半独立みたいな形で再スタートすることになったんです。前の店のオーナーのバックアップを受けて、考える暇もなくあれよあれよという間に独立。支出は大きかったけど(笑)、再スタートできたしコロナも収束しそうだし、今は落ち着いてます。
――本連載のタイトル「明日つけるマスクがない」はコロナ禍初期を振り返る、という意味合いなのですが、当初はどうでしたか?
接客業なので、マスクはいくらあっても足りないような状況でしたね。旧正月に日本に帰って、戻ってきたら大パニック。こんなことなら日本で買ってくるんだった、と後悔したけど、前述のオーナーがあちこちからかき集めてきてくれてなんとか。ちょっとしたら配給が始まったので、日本にいるよりマスクに困らなかったかも。
アイスが食べられない!
それより、やっぱり警戒レベル三級ですよ。発令された日、私ショッピングモールでアイスクリームを買ってから「あ、マスク外しちゃいけないんだ。どうしよう」って思ったのを覚えてます(笑)。
――で、どうしたんですか?
外で周りに人がいないのを確認して、こっそり外して、食べた(笑)。
――お仕事にも影響が大きかったんですよね。
感染対策万全ですって言っても、お客さんが来なくなって。いつまで続くのかもわからず不安だったけど、どうしようもなくて。貯蓄の大切さが身に沁みました(笑)。
――お店が閉まることになって、帰国は考えなかったんですか?
それがお店を閉じるって話と同時に、会社を作って独立することになって。どうしたいかなんて考えず、閉店と起業の作業に追われる、という感じ。でも身体を動かしていたから、変に不安になったり立ち止まってどうしようもなくなったりしないで済んだのかも。オーナーには恩を感じてて、自分がどうしたいかより私にどうなってほしいかが伝わってきて、それがよかったみたい。
――結果オーライ、みたいな(笑)。
そうそう、お客さんもついて来てくれたし、新規さんも増えて。またあんなことがあったらさすがにヤバイけど、このままやっていけたらいいですね。