圓山孔子廟近くの食堂
「地元っぽい店紹介して」とジャピオン編集部に言われ、すぐに思いついたのはここ「梅満美食」。
圓山駅から徒歩5分ほど、孔子廟が見える住宅街の一角に屋台式のキッチンを据え、外まで溢れたように並んだテーブル。1970年代創業の古びた店で、近所に住む人やスーツ姿のサラリーマン、ロハス系オシャレ女子までもが慣れた手つきで丸椅子を引き、跨ぐように腰掛けます。
実はここ、私に紹介してくれたのは旧中山球場の中にあるオフィスで働く台湾人編集者。「うちの社員食堂」なのだそう。日本から来たガイドブックの編集者に「うちの本では載せないエリアの、台湾初心者には紹介できない店に行きたい」と言われた時に連れて行ったら大喜びでした。編集者にも昼は来る。彼らも毎度毎度、カメラを構えて飯を食らっているわけではありません。「意識高い系」、「写真映え」、「台湾とは」など面倒くさいことは考えず、普通に朝食やお昼を食べる、昔ながらの食堂です。
古き良き魯肉飯定食
イートインならオーダー票にチェックを入れ、表の“キッチン”に持っていくシステム。お代は食べ終わってから支払います。飲み物も冷蔵庫から「自取(セルフ)」でどうぞ。私がいつも食べるのは「魯肉盒餐」(70元)。魯肉飯にキャベツ炒め、魯蛋、豆干、高菜とおかずがどっさりのったワンプレート定食です。ここの魯肉飯は甘さと辛さ、油分もほどよくさらっとしていて、硬めに炊かれた米との相性抜群。軽めにしたい時は「魯肉飯」(小40元、大60元)を単品で、野菜スープ「青菜湯」(40元)や大根の甘みがよく染み出たスープ「菜頭湯」(35元)と合わせると、ちょうど良いボリューム。
外のテーブルに座り“キッチン”を眺めていると、車いすでお弁当を買いに来た常連さん。お店の人は笑顔でおしゃべりしながらさりげなく、不便のないよう対応しています。店の上空を間近に飛ぶ飛行機は、松山空港行き。エンジン音が遠ざかると、しんと静かな古き良き台北の路地の空気がよみがえります。
info
住所 大同区市庫倫街13巷2弄2号
TEL 02-2596-2348
営業時間 6時~14時(土曜休み)
席数 約30席
予算 約80~120元