みなさんは「色」が「陰陽五行説」から生まれたことをご存じでしょうか?
日本では6世紀頃、中国から仏教や儒教とともに「陰陽五行説」という哲学・思想が導入されると、政治体制や律令制度、天文学、都市造営、宗教、生活文化にまで大きな影響を与えました。「陰陽五行説」とは紀元前350年頃、中国の思想家が提唱した思想で、宇宙は「陰陽」と「木、火、土、金、水」の5元素からなり、これらの「相生」と「相剋」によって循環しているという考え方です。
「相生」とは、木は火を生み出し、火は土となり、土は金を産し、金は水を発し、水は木を育てるというもの。これに反し「相剋」は互いに剋し合う関係で、木は土を裂き、土は水を堰き止め、水は火を消し、火は金を溶かし、金は木を伐るという関係で循環しています。
「木、火、土、金、水」の五行は「相生」と「相剋」を経て循環し、その五行は宇宙の森羅万象、すなわち色彩、方位、季節、内臓、星座、徳目、十干、十二支などに対応し配当されます。色彩に関していえば五行の「木、火、土、金、水」に対して「青(緑を含む)、赤、黄、白、黒」の五色が対応し、それぞれが季節の「春、夏、土用、秋、冬」と関連していくわけです。
さて、次回は日本と中国における基本色の概念と、生活への影響についてお話しします。