インドネシアは1万8000余りの大小の島より構成された70を越す多民族国家で、約90%の人がイスラム教を支持しています。そしてインドネシア人にとっては、日々の生活が宗教と結びつき、色彩にも色濃く反映されています。
インドネシアの国旗の赤は太陽と勇気、白は月と純潔を表しています。色彩文化に関しては、イスラムのほかヒンズー教、仏教、すべてのものに霊魂が宿るというアニミズム文化の色彩観をベースに、黒、白、黄、赤の4色が寺院や工芸品の色に表れています。
世界的に有名なリゾート、バリ島に行かれたことのある方も多いと思いますが、現地の人が色とりどりのバティックを身に着けています。このバティックと呼ばれるロウケツ染のジャワ更紗は、ソガ染料という独特の茶色で染められ、正装では腰布として着用するもの。色には特にタブーがなく、基本的にはどんな色を身に着けていても問題はありません。
インドネシアの男性は、ビジネスシーンでも色のついたシャツを着ます。女性の場合も、結婚式では花嫁と同じ白は避ける、お葬式に黒を着るといった日本のようなルールがなく、普段と同じ色とりどりの服装で参列します。
そのほか最近の傾向として、パステルカラーも好まれるようになりました。男女ともビビッドなカラーだけでなく、さりげなくパステルカラーを着こなすことが増えました。
ところ変われば色の使い方も異なる、異国の色彩文化にも触れてみてください。