各国の色彩文化や特徴についてご紹介するシリーズ。今回は様々な歴史的背景から中国文化、隣国のヒンズー文化、近代フランス文化などが混在したモザイク文化を形成するベトナムをご紹介しましょう。
ベトナムの街を歩いていてとても印象的なのが、鮮やかな看板や色とりどりのアオザイを身に着けた女性たち。日に日にめざましい発展を遂げる高層ビルの間にも、昔ながらのコロニアル調の建物がふと顔を覗かせ、ノスタルジックな雰囲気を感じさせてくれます。
色彩文化は中国の影響から漢民族、そして共産主義の色である赤、中国の五行説で最も尊い色とされる黄、黒、天子の紫。ヒンズー教からはオレンジや緑、フランスからは青と白などが受け継がれ、今も様々な場面で多く使われています。
また「ベトナムの色」とされているのは白や青。この2色は建築や衣服、陶器などに溶け込んでいて、調和を醸し出しています。そのほか国旗に見られる赤と黄色はベトナムの基本色で、街でもよく見かけます。黄色は国土、金色の稲穂、貴金属を表しています。
ホーチミンとハノイにおいても、街で使われている色に微妙に違いがあります。ホーチミンではパッと目を引く緑など鮮やかな色、一方のハノイは、少しスモーキーで深めの色が多く見られます。南と北で異なる色彩文化が形成され、人々の好む色が異なるというのは興味深いですね。